お披露目会

生憎の曇り空。今にも雨が降ってきそうな雰囲気の中、カバンの中に100均で買っておいた 如何にもチープな折りたたみ傘を2つ忍ばせて家を出た。

本日は、お互いのバッティング技術を見せ合う、お披露目会が開催される。この時の心境は、アポやらデートやらの甘っちょろい感覚はなく、「RさんVS うすしおの真剣勝負が始まるんだ」と緊張の面持ちであった。

相手は元ソフトボール部の強打者である「神スイングの稲村亜美」の分身!?ことRさんだからだ。相手に不足なし。血豆がにじむような努力を経て、ようやくこの日が訪れた。

今回は、バッティングセンターに行った後、ディナーに向かう予定である。元々バッティングセンターに行くことになった経緯は、ただ純粋にRさんの華麗なバッティングを見たいという好奇心で始まった計画だったが、私の一方的な妄想のおかげで、楽しくなるはずの予定が緊迫の状況に変貌していった。
Rさんは元ソフトボール部で
バッティングセンターによく行く

(私)ぜひ見てみたい!

RさんからO.Kをもらう

(私)右ふくらはぎがつるほど喜ぶ

同時にRさんの前でカッコ悪い
姿を見せられないと思い始める    ↓

バッティングセンターに行くが
思い通りのバッティングができない

ストレスで便秘気味になる

便秘気味がきっかけで
何故かRさんにライバル心が芽生える

バッティングセンターに通うだけでなく
坂道ダッシュを取り入れる

絶対に負けられない戦いがそこにはある
(今ココ)

この感情が芽生えたのは私の意地からである。小学校時代から運動神経が良かったので何をやってもそれなりにできた。授業でサッカーをやればフォワードに選ばれたり、100m走をすれば陸上部の子の次に速かったり、ソフトボールをさせればトップバッターの切り込み隊長に選ばれたりした。

私が唯一誇れるのが運動能力である。そうであるが故、ぽっちゃりした体で胸のふくらみも感じ始めた今でも、過去の自分の運動神経の良さを心の拠り所としているのである。

もちろん、Rさんは私が抱いている感情は知る由もなく、2人で楽しくバッティングセンターに行くくらいにしか考えていないかもしれない。これはあくまで極秘ミッションなのだ。

気合は入っているが、勝負の基準はあいまいだ。ホームランボードに当てれば当てた方の勝ち、それ以外は技術と見た目で勝負。

空振りの数やライナー性のあたりの数、構え方やバットと打球が当たった時のインパクト音、それと相手からの印象などを考慮して私がゆるく判断する。

そして何よりお披露目会という名のこの「戦い」は、Rさんには一切知らされていない。何故ならばRさんは元ソフトボール部なので、事前に知らせるとどんな練習法で仕上げてくるか分かったもんじゃない。そうなれば私はもはや太刀打ちできないだろう。ハンディキャップがあってちょうど良い勝負ができると判断した。

待ち合わせ場所はもうすぐそこに迫っていた。近づくにつれてRさんの姿がはっきりと見えてきた。眩しいくらいのスマイルが私の動揺を誘った。

ぎこちない笑顔を返して、しばし談笑した後、早速私たちはバッティングセンターへと向かった。

お披露目会パート2へ続く