初めてのアポ パート3

初めてのアポパート2の続き

予定していた電車には乗れたのだが、途中事故か何かで電車がストップしてしまい、結局目的のお店に着いたのは2分前だった。

待ち合わせ場所はお店の前。しかしKさんの姿が見当たらない。1週間前にようやくLINE交換をして、前日にはKさんから「仕事終わったらすぐに向かうので早めに着くと思います。待ち合わせ時間まで周辺でウィンドウショッピングしています」とLINEが来ていたのだが・・・。

「まさかのキャンセル!?」

とネガティブ志向のうすしおは一瞬よぎるも気を取り直してLINEで

「お店前に到着しました。Kさんはどちらにいらっしゃいますか?」と送ってみる。

しばらくしてKさんから

「今近くにいます。すぐ行きます。」と返事がきた。

早めに来ていたのだから「なぜ待たせるの?」と疑問に思ったが、トイレで化粧直しでもしていたのだろうと、半ばヤケクソ気味のこじつけで自分自身に言い聞かせて納得させた。

5分後、Kさんがやって来た。店の前で一通りの挨拶を済ませて二人で入店した。Kさんの容姿はプロフィール写真と比べてやはり少し違って3割減だった。プロフィール写真は皆気合を入れて撮っている。こればっかりはお互い様なので何とも言えないが、想定内なので気持ちの揺さぶりはなかった。

店に入ると中々おしゃれな雰囲気で予約した席も眺めが良く、夜景も楽しむことができた。しかし隣との席の距離が近すぎて、耳を澄ますと隣の話している内容が理解できる程の距離であった。

席に着くとすぐに店員がやってきてメニューを差し出してくれた。Kさんはワインを私は酒に弱いので子洒落た名前のブドウジュースをオーダーした。

先ずはドリンクでのどを潤した後、あらかじめ食べログで調べておいたオススメのメニューを注文した。そしてこの辺りからお互いの仲を深めるため仕事に関しての話題や趣味、出身地の話題などメッセージ交換で知り得た情報をより詳しく話し合って楽しんでいた。

その後、料理もやって来て、美味しく食べながらKさんの料理上手なことについて話している頃から段々雲行きが怪しくなってきた。

私「Kさんの手料理の写真を見たんですけど、凄い腕の持ち主ですねー!」と言ったところ

Kさん「毎日作っているわけではないですけどね。ところで、うすしおさんは料理するんですか?」と返ってきた。

そして私は正直に「普段ほとんど作らないですね。ごはんだけ炊いてスーパーで惣菜を買ったり、外食したりしてますねー」と言った。

するとKさんは今まで猫をかぶっていて、そのリミッターが外れたかの如く私を追い詰めていく。「そうなんですかー。今は男性でも自分で料理作る人増えていますよねー。うすしおさんは料理に興味ないんですか?」

一瞬たじろぐ私。それでも笑顔で「そうですねぇー。仕事が忙しいから料理まで手が回らないですねぇー」

するとKさんは立て続けに「部屋の掃除や洗濯はこまめにしてるんですか?」との質問が飛んできた。

そして私は「休みの日に溜めこんだ衣服を洗濯したり部屋を掃除したりしています」と答えた。

さらにKさんは「そうなんですねー。じゃあ、そもそもどうしてネット婚活をしようと思ったんですか?」と突拍子もない質問が。

「えっ 君は一体何の取り調べをしているんだい?私は何か犯罪を犯した容疑者かい?」と思えるくらいの質問がバンバン飛んでくる。

Kさんのプロフィール欄において【自分の性格とは】に書かれていた「優しい・気遣いができる」は見る影もなく、ただ私の不快指数を上げるだけの質問が繰り返された。

自分のことは棚に上げて、「どうして今まで独身なんですか?」「どうして友達から女性を紹介してもらわないのですか?」のwhy why why祭りが開催された。

まるでキャバクラに行って指名した女の子に向かって「どうしてこんな所で働いているんだ。もっとまともに働かないと将来大変だぞ!」とののしる万年平社員のリーマンオヤジを思い浮かべた。

最後までKさんはこんな調子だったので怒りやあきれ返ったのを通り越して、私は笑みすら浮かべていた。

最後に私は「Kさん、色んな意味で印象と違いました。今日はありがとうございました」とだけ言い残して席を立った。

勿論支払いは全部私持ちだった。駅前の立ち食いそば屋のかけそば程度の価値しかなかった女性であったが、こんな印象深いおもしろエピソードを提供してくれた分も含めての料金だと思えば損はない。この経験が、逆に私の婚活のやる気スイッチを奮い立たせている。少なくとも彼女よりは幸せになりたいから。