持つべきものは友

4年前に離婚した友人がいる。彼の名前をA君としよう。A君は奥さんと愛娘の3人家族だった。

A君は人当たりが良く誰とも仲良くなれて、付き合いも断ることをしなかった。A君は自らも誘ってきて私と二人でよく飲みに出かけたりした。趣味も多くて登山に行ったり、草野球チームに所属していたり麻雀も好きで深夜に帰宅するのが当たり前になっていた。

私もその状況を知っていたので不安になりA君に「家庭は大丈夫か?」などと問いかけてみたが、彼の返事は「no 問題」。よくできた奥さんだなぁーと感心していた。

しかし、心配していた通りただ奥さんが我慢していただけであった。奥さんは優しい雰囲気でどちらかと言うと前に出るタイプではなく、一歩下がって旦那を支える感じの女性であった。たまにお家に伺っても奥さんは笑顔で迎えてくれてこんな嫁さんだといいなぁと思っていただけに離婚したと聞いて私もかなりショックを受けた。

その優しい奥さんの堪忍袋の緒を切れさせて、離婚する寸前まで奥さんの気持ちに気づかなかった図太い神経の持ち主であるA君は政治家に向いていると思った。選挙に出ればもちろん投票しないが。

そんなどうしようもないA君を怒鳴りつけてやろうと呼びつけた。しかしA君を見た瞬間、その感情は吹っ飛んでしまった。推定80キロオーバーのぽっちゃりA君が、顔はげっそりとやせ細り魂が抜けてしまったような状態で現れた。さすがに私もその姿を見ると怒る気にならなかった。

A君は離婚に至った理由を説明してくれて、その最中に急に泣き始めるなど情緒不安定だった。悩み事や泣き言を言ったことがなかったA君が心身ともに疲れている。離婚話を聞けば100対0でA君が悪いのは分かりきっている。それでもA君は私の友人であり、私はA君の言葉で救われたこともある。

私は全力で彼を慰めた。A君が「俺は結婚に向いていない」と言うと私は「そんなことはない。お前はこことここを直せば必ずまた幸せが訪れるから」と全身全霊で励ました。

そんなA君が今年結婚した

彼は私を差し置いて幸せを手に入れた。聞けば同世代の婚活パーティーに参加して、2歳年上の女性と意気投合してあれよあれよという間に結婚にたどり着いたという。

今年連絡ないなーと思っていたらA君は幸せに向かって歩んでいたのだ。挙句の果て、A君は私に対して「お前は若い子に走りすぎだ」とか「年上は理解してくれていいぞ」など言いたい放題で、4年前の私の励ましや助言などどこ吹く風でしまいには説教までし始めた。

何故か素直に喜べない私は心が病んでいるのだろうか?祝儀もA君には2回収めたし、必ず1回は回収してやると心に誓ったのだった。