新たな出会い Sさん②

新たな出会い Sさんの続き

時刻は20:52。21時に待ち合わせ場所に集合となっていたが、到着すると携帯画面をじーっと見て一人ポツンとたたずんでいる女性がいた。ショートヘアの女性、写真で見たまんまのSさんがそこにいた。

Sさんの恰好はグレーのコートを羽織っていて、中にはワインレッドのセーターを身につけていた。下はスキニーのジーンズを履いていてショートヘアのSさんに似合っていた。ただ個人的には、フェミニン系のファッションが好きなうすしおは、スカート姿が見たかったのでそこは残念だ。

一方、私の恰好はベージュのステンカラーコートに紺のスーツでビシッと決めたつもりではいるが、まぁー無難にまとめました感は否めない。

今回予約したお店は、梅酒や果実酒が充実していて、落ち着いた感じで個室も用意されている居酒屋をチョイスした。

挨拶を済ませてそのお店に行く道中、まずは少しでも打ち解けるようにと積極的に話しかけた。

私「今日はホントに寒いですね~」

私「鍋の方が温まって良かったですか?」

Sさん「鍋はあまり好きじゃないです」

私「じゃあ 良かった。今日行くお店は単品料理が美味しいのでいっぱい食べちゃいましょう!」

Sさん「はい・・・」

出だしは私の話に思いのほか乗って来ず、スムーズに会話が成り立たなかった。こうなると色々良からぬことを考えてしまう。

「写真と実物とのギャップが激しすぎて、とんでもなくショックを受けているんじゃないか?」「待ち合わせ場所で会った時、実は携帯ゲームをしていてレアキャラをゲットして、さぁこれからという時に話しかけられて気分を害したんじゃないか?」など私の心はマイナスな方向に向かっていった。

しかし、このままの状態で店に到着しても、大して盛り上がりもせず白けたままお開きになり、お金だけが消えていくのは是が非でも避けたい。

恋愛どうのこうのより、せめて次の婚活に活かせる何かを得るために現状を打破して、Sさんを楽しませることだけに集中しようと考え直した。

今後、同じシチュエーションに出くわした時、対処できるようにリハーサルと考えれば気が楽になり、どんどん話のネタが浮かんできた。

私「Sさんのショートヘアの雰囲気と服装がマッチしていて、よく似合ってますね!」

Sさん「・・・」

私「パンツスタイルが好きなんですか?」

Sさん「私、ファッションにあまり興味ないです。スカートはほとんど履かないです」

 

「なんも言えねぇ」

話題を振ってもSさんにポキポキ折られた。私は北島康介の名言が心の中で飛び出すほど動揺していた。

そしてその動揺を引きずったまま店に着いた。一通り注文した後、「これからどんな話題で話そうか?」と考えていた矢先、Sさんが静かに話し始めた。

Sさん「私、極度の人見知りで、初対面の人と話すと緊張してうまく話せないんです。すいません」

私「そうなんですか!なんか嫌われてんじゃないかなって思ってました」

このやりとりがキッカケで少し打ち解けた感じがした。その後はお互い共通の趣味である英会話について話した。

私「バイリンガールのちかさんの最近の動画観ました?家族でオーストラリアに移住するみたいですね。うらやましいですね!」

Sさん「観ました。けど私、食べ物の好き嫌いが多いし、一度タイ旅行に行った時に、水であたっちゃって大変な思いしたので、それ以来海外に怖くて行けないです」

「それで今は駅前留学してるんですね!」

Sさん「はい?」

昔、TVで流れていたNOVAのCMネタを出してみるも知らないみたいでスベってしまう始末。

会った当初に比べれば随分親しみやすくなったが、このように終始話がかみ合わない状態のままお開きとなった。

帰りの電車の中で、Sさんとの初アポについて振り返っていた。心に響いてくるものが何一つなく、「今後また会いたいな」という感情も芽生えてこなかった。

「相手も同じように思っているだろう」と次の出会いに向けて携帯でユーブライドの新着情報を眺めているとSさんからLINEがきた。

Sさん「うすしおさん、今日はごちそうして頂いてありがとうございました。楽しかったです。またお会いしたいです

「マジですか~」

あれほど話がかみ合わなかったのに何故?とも思ったがSさんから見れば楽しかったみたいだ。

しかし、私に残されている婚活時間は限られている。翌日、意を決してSさんに「価値観の違いが見られたので」というビジュアルバンドの解散理由にありがちな理由でお断りした。

まだまだ婚活を止められそうにないなと実感した1日であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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