浮気癖 パート2

浮気癖の続き

店内を徘徊していると、私の目に留まったのが甘AKBであった。甘AKB は2台連なって設置されており、その内1台は先客が座っていて大当たり中だった。

「今日の浮気相手は甘AKBで決まりー!」

私は隣の甘AKB空き台をロッテのチューイングガムアクオでキープして、ずっとガマンしていた尿意を解放すべくトイレに突進した。

甘AKBは私の大好きな1種2種混合機なので、以前はよく打っていたが、相性が悪くMUSIC RUSHに入ってもショボ連で終わることが多かったので最近は敬遠していた。

しかし、今はうすしお無双発動中である。怖いものなど存在しないのだ。逆に、今なら苦手の甘AKBを克服できるはずだ。

「AKBよ!今日こそはキュインキュインさせてもらいますYo!」

私は学生時代から勘違い男だった。当時、訪れた第一次ゴールデンマンスの際、「これだけ連日連勝が続くなら、いっその事、パチプロで暮らしていけんじゃねえの?」と思ったものだった。その後、まったく勝てない日々が2倍返しでやって来ることを当時の私は知る由もないだろが・・・。

時を経て、現在、再び学生時代と同じことを考えている自分が存在していた。年齢も重ねてシワも増え、ほっぺたのへんな所からヒゲも生えだした。辛い経験も幾度となく乗り越えてきて人生の深みや渋みが出てくる頃だろう。そんな今、導き出した考えは、

「これだけ調子良かったら、今からでもパチプロで暮らしていけんじゃね?」に至った。

どれだけ年齢を重ねようが、どれだけ辛い経験を味わおうが、大学時代の考え方と根本的に何ら変わらないのだ。人は、失敗を糧に成長する者と、失敗を繰り返す者とに分かれるとしたら、私は後者を選んだのは間違いない。ならば、その道を究める者として、益々突っ走っていこうと心に決めた次第である。

そろそろ実戦に戻るとしよう。トイレから戻り早速打ち始めると、甘AKBの回転数は、すこぶる好調で常に保留ランプが満タンの状態だった。この調子だと大当たりするのも時間の問題だなと思っていたのだが、一つ気になったことがあった。

それは隣で同じ甘AKBを打っている若者だった。その若者を仮にA君としよう。私がちょうど打ち始めた時に、A君は大当たりが終わり、通常画面に戻った。すると、不意にボタンを連打し始めた。

パチンコ店から日々撤去されつつある甘AKBを惜しんでるかの如く、A君は大当たり終了後のミニゲームを全力で楽しんでいたのだ。

「この時期に? しかも全力で!?」

とは思ったのだが、これがA君なりの惜別の儀式なのだろうと勝手に解釈していた。そしてさらに情報を付け加えると、A君はめちゃくちゃゲームが得意そうでガンガン得点を重ねていく。ジャンプのタイミングも2つに分かれた進路選択も絶妙で、あれよあれよという間に高得点を獲得していた。

この状況を見て、A君が甘AKBに対して紳士的な対応を見せているというのに、「私はちゃんと向き合っているのか?」と疑問が生じ、峯岸みなみに設定してあった推しメンを小嶋陽菜にチェンジした。これが私なりの本気の証である。

そして気持ちが通じたのか小嶋陽菜にチェンジした数回転後、MUSIC RUSHに突入した。
さぁ、ここからが本番だ。以前の2~3連のショボ連で終わるか、それともうすしお無双が発動して大連チャンゲットとなるか!?


画像がぼやけていて申し訳ないが、この画像を撮った時が13連チャンで、さらに2連チャン加えて合計15連チャンという結果になった。またもや浮気して移動した甘AKBが爆発してくれた。まだまだうすしお無双発動中。こんな結果が伴えば、益々浮気癖がついてしまうのは男の性である。いろんな台をつまみ食いしてさらに勝ててしまうのだからパチプロ願望が湧いてくるのも当然のことだろう。


最終獲得出玉が13710玉で終了となった。MUSIC RUSH後は、A君を見習ってミニゲームに挑戦してみたが、如何せんゲーム音痴のうすしおはジャンプのタイミングが早すぎて、ジャンプしなかった時と同じ位置に着地してしまったり、進路選択もことごとくポイントの安い方を選んでしまう体たらく状態だった。何よりも一番屈辱的だったことは、A君の視線からくるプレッシャーを跳ね返す精神力が備わってなかったことで、途中でゲームを放棄してしまったことだ。もはや滝荒行に出向く必要のある弱精神レベルまで達している。

そしてこの実戦を機に潮目が変わり、現在3戦全敗である。私の「パチプロ宣言」を見事に打ち砕く「連敗週間」、いや「連敗月間」が到来した。歴史は繰り返される。私を反面教師として、くれぐれも1ヶ月やそこらのラッキー連勝を勘違いして「パチプロ宣言」などは行わないことを切に願っている。